はじめに
「乾燥してくると喉がヒリヒリ、痰も絡みやすい」
「風邪は治ったのに、後鼻漏だけが何週間も続いている…」
そんな声が、秋から冬にかけて多く寄せられる季節です。
空気の乾燥や気温差の大きいこの時期、後鼻漏・上咽頭炎・咳といったご相談が和ひのき薬局でも特に増えてきます。
秋冬に悪化する“乾燥型”後鼻漏とは?
漢方では、秋冬は「燥邪(そうじゃ)=乾燥の邪気」により、肺や粘膜が傷つきやすい季節とされています。
肺は“潤い”をとても必要とする臓腑であり、乾燥に弱く、少しの刺激で炎症や不快症状を引き起こしやすくなります。
潤い不足が招く代表的な症状
- 朝起きると喉が乾いて痛い
- 鼻水が少ないのに喉に違和感
- 痰がネバネバして切れにくい
- 空咳・かすれ声・乾燥からの咳が続く
- インフルエンザや風邪のあとに、後鼻漏だけが長引く
これらの症状は、粘膜の乾きと体の熱(炎症)が複雑に絡み合っているサインです。
漢方で見る秋冬の体質傾向とアプローチ
タイプ |
主な症状 |
体質の特徴 |
対応の方向性 |
肺陰虚タイプ |
喉の乾燥・かすれ声・空咳 |
潤い不足・体が乾燥気味 |
潤し、粘膜を守る |
陰虚火旺タイプ |
ネバつく痰・寝汗・のぼせ感 |
潤い不足+体に熱がこもる |
潤す+熱を冷ます |
肺気虚タイプ |
治りが遅い・痰が少ない |
体力低下・冷えやすい |
気を補って免疫を高める |
後鼻漏に限らず、「風邪が長引く」「粘膜が乾燥する」といった不調には、こうした体質を見極めた対応が欠かせません。
秋冬の食養生──乾きと熱を調えるポイント
✅ 潤いを補う食材
白きくらげ、れんこん、梨、はちみつ、豆腐、百合根、松の実
✅ 熱を冷ましながら潤すもの
豆乳、温かい緑茶、百合根入りスープなど
✅ 気を補い免疫を整える
山芋、かぼちゃ、鶏肉、黒ごま、なつめ、長芋など
温かいスープや雑炊など“優しく温める食”を取り入れながら、体の内側から粘膜を守るケアを意識しましょう。
相談事例①:60代男性・冬になると毎年後鼻漏がひどくなる
冬場になると毎年、喉の奥に痰がからみ、特に朝と夜に強くなる後鼻漏に悩まされていた60代男性。
風邪をひくと咳が止まらず、後鼻漏が数週間残るのが毎年のことでした。
漢方体質としては「陰虚火旺(潤い不足で体の熱がこもる)」と判断。
→ 潤いを補いながら、粘膜の炎症を鎮める漢方薬を提案。
また、乾燥を避ける加湿と、はちみつ入りのお湯でのうがいを継続してもらいました。
約2ヶ月で朝晩の症状が大きく改善し、「10年以上ぶりに冬を快適に過ごせた」と嬉しい報告がありました。
相談事例②:40代女性・風邪のあと後鼻漏だけが長引く
40代の女性。軽い風邪をひいたあと、鼻水や熱は治まったものの、「喉に痰が落ちてくるような感じ」が1ヶ月以上も続き、病院でも原因不明とされた状態。
乾燥やストレス、冷えや疲れが重なっており、体質は「肺陰虚+気虚」と診断。
→ 潤いを補いながら、粘膜の修復と免疫を整える漢方薬を提案。
白きくらげや梨のスープなども食養生として実践していただきました。
約4週間で後鼻漏がほぼ解消され、再発もせず冬を越せたとご報告がありました。
粘膜の違和感は、「体の声」かもしれません
後鼻漏は、ただの“粘膜トラブル”ではなく、
乾燥・体の熱・免疫バランスの乱れなど、体全体からのサインでもあります。
病院で異常がなくても、「症状が繰り返す」「季節で悪化する」といった場合は、
体質から見直すことが、根本改善への第一歩になるかもしれません。
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本記事は、秋・冬の後鼻漏・上咽頭炎に悩む方からの実際のご相談をもとに、
和ひのき薬局 薬剤師 神谷和憲が執筆しました