はじめに
「梅雨の時期になると、喉に痰が絡んで気持ち悪い…」
「朝起きると、喉がネバネバしていて一日中スッキリしない」
「鼻の奥から水っぽいものが喉に落ちてくる感じがある」
和ひのき薬局には、毎年6月ごろからこのような後鼻漏のお悩みが急増します。
多くの方は「アレルギーかな?」「風邪の治りかけかも」と考えがちですが、
漢方的に見ると──その不調、実は**“体に溜まった余分な湿気”**が原因かもしれません。
梅雨に起こる“湿邪”と後鼻漏の関係
梅雨は、空気中の湿度が高く、体の中にも湿気がたまりやすい季節。
漢方ではこの状態を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。
湿邪が体に入ると、特に**胃腸(脾)**の働きが低下しやすくなり、
水分代謝が滞ることで「痰」や「むくみ」といった症状が出てきます。
その結果──
- 喉に絡む痰(特に朝に多い)
- 鼻の奥から喉に落ちてくるような感覚(後鼻漏)
- 鼻づまり・頭重感・ぼんやり感
こういった粘膜トラブルに加えて、消化不良や全身のだるさも出やすくなります。
「湿」が溜まりやすい人のチェックリスト
以下の項目に複数あてはまる方は、「湿邪体質」かもしれません。
- 朝起きたとき、痰がからんでいる
- 雨の日に頭が重く、集中力が落ちる
- 食後に胃がもたれる/便がゆるい
- 足のむくみやすさを感じる
- 舌の縁に歯型がついている
- 汗をかきにくい、または汗がベタベタする
こうした症状がある方は、体内の水はけが悪くなり、湿が停滞している状態です。後鼻漏の改善には、この湿をしっかりと取り除くことが大切になります。
漢方で見る|梅雨に悪化しやすい後鼻漏タイプ
タイプ |
主な特徴 |
アプローチ |
胃腸虚弱タイプ |
朝の痰・胃のもたれ・便のゆるみ |
胃腸を温め、水分代謝を改善 |
痰湿停滞タイプ |
喉に粘った痰がへばりつく/疲れやすい |
溜まった湿を取り、痰をさばく |
肝脾不和タイプ |
イライラ・お腹が張る・喉に違和感 |
気の巡りを整え、胃腸機能を回復 |
体質に応じた対応が必要なため、同じ「喉の痰」でも使う漢方薬はまったく異なります。
とくに「治療してもよくならない」「年々悪化している」場合は、体質を見極めることが改善のカギになります。
梅雨を乗り切るための食養生
梅雨時期の食事では、「胃腸に湿を溜め込まないこと」が最優先です。
×控えたいもの
- 冷たい飲み物・アイス
- 生野菜・果物(特に夜)
- 菓子パン・乳製品・脂っこい料理
これらは湿を溜め込み、消化力をさらに低下させます。
◎取り入れたいもの
- ハトムギ、冬瓜、とうもろこし
- 小豆、あさり、シソ、生姜、ネギ、三つ葉
- 梅干しや酢の物(少量)
→ 体を温めつつ、水の巡りを良くする食材が有効です。
◆おすすめの調理法
- 雑炊・スープ・蒸し野菜など、温かく消化にやさしいもの
- 味噌汁におろし生姜+長ネギをプラスして、体の中から除湿
相談事例①|50代女性・会社員
「毎年梅雨になると、喉の奥に痰がへばりついて不快」というお悩みで来局。
特に朝がつらく、話すのも億劫になるとのこと。
問診の結果、冷たい飲食を好み、甘いお菓子がやめられない、便はやや緩めでむくみも出やすい体質。
漢方的には「脾虚+湿滞(ひきょ+しったい)」と判断し、胃腸を温めながら湿をさばく漢方薬を提案。
朝食を温雑炊に、飲み物を常温に切り替える食養生も指導。
約3週間後には、「喉のネバつきがかなり軽減した」と喜ばれていました。
相談事例②|40代男性・デスクワーカー
雨の日に集中力が下がり、頭が重くて仕事に支障が出るという相談。
喉の違和感もあり、「後鼻漏が原因では」と自己判断で受診。
生活習慣は座りっぱなし、ストレスで過食気味。
体質は「肝脾不和」+「痰湿タイプ」と見立て、気の巡りと消化吸収力を一緒に整える漢方薬を選定。
併せて、ランチ後のコーヒーと菓子パンを控え、温かいスープ中心の食事へ。
1ヶ月後、「午後のぼんやり感が減り、喉も気にならなくなった」と報告されました。
「粘膜の治療だけでは改善しない」
──それが梅雨の後鼻漏
後鼻漏は、単なる喉のトラブルではありません。
とくに梅雨に悪化するタイプは、**体質の水分代謝の乱れ=“内側の問題”**が関わっています。
「何をしても治らない」「季節のせいだからと諦めている」
そんな方こそ、体のバランスから整える漢方相談をおすすめします。
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本記事は、梅雨の後鼻漏・上咽頭炎に悩む方からの実際のご相談をもとに、
和ひのき薬局 薬剤師 神谷和憲が執筆しました