はじめに
「春になると鼻水が増えて、喉の奥に落ちてきて不快」
「鼻がすっきりしない。痰がのどに絡んで、朝がつらい」
和ひのき薬局には、そんなご相談が春になると多く寄せられます。
確かに春は、花粉症や黄砂、PM2.5といった“外からの刺激”が増える季節。でも実は、体の内側の変化が影響して、後鼻漏が長引いている方も少なくありません。
この記事では、春に後鼻漏が悪化する背景と、漢方から見たケアの考え方について詳しくお伝えします。
「外からの刺激」だけでは説明できない後鼻漏のつらさ
春の後鼻漏で来局される方に共通するのが、「花粉症の薬を飲んでいるのに、喉がすっきりしない」「鼻水というより、ねばついた痰のようなものがのどに落ちてくる」というお悩み。
アレルギーだけが原因なら、抗ヒスタミン薬である程度症状は緩和されるはずです。にもかかわらず、症状が長引く場合は、粘膜の慢性的な炎症や体質的な偏りが影響している可能性があります。
漢方で見る春の後鼻漏──カギは「肝」と「気の巡り」
漢方では、春は「肝(かん)」の働きが活発になる季節と考えられています。
肝は、全身の「気(き)」の巡りや自律神経のバランスに深く関係し、ストレスや生活リズムの乱れに敏感な臓です。春の環境変化や精神的ストレスにより肝の働きが乱れると、気の巡りが滞り、粘膜の炎症や分泌物の偏りが生じやすくなります。
特に、以下のような方は要注意です。
- 春になるとイライラしたり、寝つきが悪くなる
- 花粉症の症状に加えて、肩こりや頭重感が強くなる
- 喉に粘る痰が絡んで、なかなか切れない
こうした状態は、漢方では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」や「肝火上炎(かんかじょうえん)」と呼ばれ、鼻や喉の粘膜の炎症と密接に関わっています。
実際の相談事例①:環境の変化で悪化した後鼻漏
40代女性。転職をきっかけに生活環境が大きく変わり、春先から後鼻漏が悪化。「花粉のせいだと思って薬を飲んでいたが改善せず、のどのイガイガと痰が続く」とのことでした。
漢方的にみると、ストレスにより肝の働きが乱れ、気の巡りが滞っている状態。加えて、体の内側に軽い『熱』がこもり、粘膜が敏感になっている様子もありました。
「気を巡らせる」+「軽い熱を冷ます」漢方を用いて調整したところ、2週間ほどで喉の不快感が和らぎ、徐々に後鼻漏も軽減していきました。
実際の相談事例②:季節の変わり目になると毎年悪化するタイプ
50代男性。毎年、春になると必ず後鼻漏が悪化。「薬は効くときもあるけど、根本的には治らない」とのご相談でした。
体質としては“気滞(きたい)+湿熱(しつねつ)”傾向が強く、春の気候変化で悪化しやすいタイプ。特に、朝方の喉の絡みや、体の重だるさが顕著でした。
肝の気を調え、余分な湿と熱を取り除くような処方と食養生の併用で、春の不調がぐっと軽くなり、「今年は喉の違和感があまり気にならなかった」との感想をいただきました。
春の後鼻漏をやわらげるためにできること
① 気の巡りを良くする生活を心がける
- ストレッチや軽い運動で気の流れを促す
- 朝は余裕を持って行動する(慌ただしい朝は肝に負担)
② 肝をいたわる食事を意識する
- セロリ、春菊、三つ葉、菜の花など、香りの良い春野菜を取り入れる
- 辛味・脂っこいもの・刺激物は控えめに
③ 粘膜の養生を意識する
- 寝不足は粘膜を乾燥させ、炎症を悪化させやすい
- 水分補給はこまめに、常温以上で
あなたの後鼻漏、「季節のせい」で済ませないで
春の後鼻漏は、花粉などの刺激だけでなく、気候変化や体の内側の乱れが大きく影響しています。
市販薬やアレルギー対策だけで改善しないと感じる方は、一度ご自身の「体質」や「生活のバランス」に目を向けてみてください。
和ひのき薬局では、そうしたお悩みに丁寧に向き合い、あなたの体質に合ったケアをご提案しています。
「毎年つらい春を変えたい」
「本当に合う方法を知りたい」
そんなときは、どうぞご相談ください。あなたの体に寄り添ったサポートを、私たちはご一緒に考えます。
ご相談をご希望の方へ
✅ 初回はじっくり約60分お話を伺います(予約制)
❌ LINEによる一問一答のご相談は承っておりません
❌ はじめから購入する気のないご相談はお断りしています
▶ [ご相談の流れはこちら]
▶ [相談予約はこちら]
▶ [LINE登録はこちら]
本記事は、春の後鼻漏・上咽頭炎に悩む方からの実際のご相談をもとに、
和ひのき薬局 薬剤師 神谷和憲が執筆しました