はじめに
「夏になると、喉に痰が絡んでスッキリしない…」
「冷たい飲み物が手放せないけれど、だんだん後鼻漏がひどくなる気がする…」
そんなお悩みが、和ひのき薬局には夏になると多く寄せられます。
暑さのせいだと思っていた不快な症状、実は体の内側の“冷え”と“湿気”が関係しているかもしれません。
漢方では、夏の後鼻漏は「冷房・冷たい飲食・体力の消耗」によって、
胃腸や粘膜の働きが落ち、体の中に“余分な水”が溜まっているサインととらえます。
この記事では、夏に後鼻漏が悪化する原因と、
体質に合わせた漢方的な対策、食養生、そして実際の相談事例をもとに、
「もう治らない」とあきらめる前に知っておいてほしい視点をお伝えします。
漢方では「夏バテ」が後鼻漏の引き金に
一見、夏は「暑さ=熱のせいで悪化する」と思われがちですが、漢方ではもう一つ大切な視点があります。
それは、“冷たいもののとりすぎ”によって「体の中が冷えて湿っている」状態になっているということ。
とくに胃腸(脾)の働きが弱くなると、水分代謝が落ち、体に“余分な水=湿”がたまります。
この状態を漢方では「寒湿(かんしつ)」と呼びます。
さらに冷房の風や冷たい飲食で体の中が冷えると、痰が増えて喉にからみやすくなり、
その結果として「後鼻漏」や「痰が喉に停滞する感じ」を訴える方が多くなるのです。
✅ 夏の後鼻漏によくある症状チェック
- 冷たい飲み物やアイスをよくとる
- 食欲が落ち、胃が重い
- 朝に痰がからんで咳払いが増える
- 暑いのに手足が冷えている
- クーラーにあたるとだるくなる
- サラサラした鼻水が喉に流れる感じ
このような症状が重なる方は「夏バテ型後鼻漏」が疑われます。
タイプ別:夏に悪化しやすい後鼻漏の体質と対策
タイプ |
主な症状 |
アプローチ |
脾虚湿盛(ひきょしっせい)タイプ |
胃もたれ、痰が多い、だるさ |
胃腸を温め、湿を取り除く |
肺陰虚(はいんきょ)タイプ |
喉が乾く、痰がネバつく、寝苦しい |
潤いを補い、体の熱を冷ます |
陽虚(ようきょ)タイプ |
暑がりだが手足は冷える |
内側の冷えを改善し、巡りをよくする |
※どのタイプかを見極めることが、体質改善への第一歩になります。
夏の後鼻漏におすすめの食養生
- 冷たい飲み物は常温で
- スイカ・きゅうり・トマトなどの冷性食材は食べすぎに注意
- 味噌汁・蒸し野菜・雑炊などの温かい食事で胃腸をケア
- 冬瓜・とうもろこし・緑豆などでこもった熱をやわらげる
- しょうが・シソ・ネギで水分代謝と気の巡りをサポート
冷やす食と温める食をうまく使い分け、体を整えることが夏の後鼻漏対策のポイントです。
相談事例①:30代女性・冷飲食が習慣に
冷たい麦茶やアイスを毎日欠かさなかった30代女性。
朝起きると喉に痰がからみ、会話もしづらく、何度も咳払いしてしまうとのことでご相談に来られました。
体質チェックでは、胃腸が弱く、便がゆるくなりやすく、手足の冷えもあるタイプ。
漢方では「脾虚湿盛」と判断し、温めて水分代謝を改善する処方を提案。
加えて、朝食を温かい雑炊に変え、冷たい飲み物を控えるようアドバイスしました。
3週間後には朝の不快感がかなり軽減され、「今年は夏でも調子がいい」と嬉しい報告をいただきました。
相談事例②:40代男性・ビールと外食中心の生活
「夏になると喉に痰が絡み、夜中に目が覚める」と相談された40代男性。
仕事柄外食が多く、晩酌で冷えたビールを毎晩飲む生活が続いていました。
問診の結果、食後の胃の重たさ、口の苦み、舌苔のべたつきがあり、
「湿熱(しつねつ)」と「脾虚(ひきょ)」が混ざった体質と判断。
余分な熱と湿を取りつつ、胃腸の力を補う漢方薬を処方。
お酒を常温の焼酎お湯割りに変えたり、夜の食事を見直す養生も取り入れていただいたことで、
1ヶ月後には「痰が減り、夜ぐっすり眠れるようになった」とのことでした。
「粘膜の問題」だけでは見えない根本原因
夏の後鼻漏は、単に「粘膜が弱っているから」ではなく、
体の中の「冷え・湿・熱」のアンバランスが大きく関わっています。
とくに毎年、夏になると同じ症状を繰り返している場合、
体質を見直すことで大きな改善の可能性があります。
一時的に症状を抑えるだけではなく、根本から整えることを目指しませんか?
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本記事は、夏の後鼻漏・上咽頭炎に悩む方からの実際のご相談をもとに、
和ひのき薬局 薬剤師 神谷和憲が執筆しました